新型コロナで生活は? 街は? こんなに違う世界の常識【特報】
今、世界で起きている驚きの現実。
グアムで、街から人が消えた。
1日あたり過去最多の感染者数を記録したフランス・パリでは、“密”を気にせずパーティー?
感染対策は、どうしたのか?
そして、新規感染者ゼロを更新中の中国・上海では、戻ってきた日常。
しかし、その裏には...。
日本の常識でははかれない、世界の現実を緊急取材。
まずは、グアム。
なぜ今? 再びのロックダウン。
世界では人出が戻りつつある中、グアムの中心地・タモンは何やら様子がおかしい。
撮影したのはつい先週なのに、ショップもレストランも全て閉まり、街から人が消えた。
ビーチも、まるで無人島。
人気の観光地グアムで一体、何が起きているのか。
グアム政府観光局の村田悟理事に聞いてみると、「(8月の)日々の新規感染者がゼロということもあったんですけど、そういった状況が安定した中で制限措置が徐々に解除されて、緩んだところで感染が再び広がってしまった」と話す。
明暗を分けたのは、7月下旬。
1回目のロックダウンを解除したころだった。
そこを境に、感染者数は急増。
これまで確認されている2,147人の感染者のうち、およそ8割が8月以降の感染者だという。
解除が早すぎたのか。
グアムでは、8月中旬から再びロックダウンに突入した。
最高レベルのステイホーム命令が発令され、病院やスーパーマーケットなど、命にかかわる仕事以外は休業となった。
そんなグアムで今、新たな現象が。
マクドナルドに入ってきた1台の車。
続けざまに、もう1台。
駐車場を見てみると、長い車の列ができていた。
ドライブスルーの利用者だった。
現在、飲食店では店内の利用が禁止されているため、至るところでドライブスルーの列ができていた。
このカフェでは、コーヒーを求める車の列。
さらに、こんな意外な場所でも...。
2020年4月にオープンしたばかりのホテル「The Tsubaki Tower」。
今回のロックダウンで始めたドライブスルーが、ホテル自慢のケーキ。
そして、中には早朝から多くの人が訪れる場所が。
時刻は店の開店時間、午前6時。
ここは、地元で人気のスーパーマーケット。
お客さんを見てみると、皆、高齢者。
実は今、グアムでは高齢者や妊婦さんなど、感染リスクの高い人たちを対象に、通常より1時間早い午前6時から店を開けているという。
再びのロックダウンで逆戻り。
グアムは今、深刻な局面を迎えていた。
続いては、パリ。
1日あたりの感染者数、過去最多なのに...。
緊急事態宣言下のフランスでは、2020年5月以降、1日の感染者数は、おおよそ1,000人未満に抑えられていたため、7月中旬に宣言が解かれ、バカンスに突入。
ビーチは、人であふれ返った。
さらに、イベントもこの盛り上がり。
会場は超満員だが、マスクをしている人は見当たらない。
夜の路上は人でいっぱい。
さらに、別のバーでは酒やダンスで大はしゃぎ。
屋内なのに誰もマスクを着けていない。
一方、大学構内で撮影された写真。
廊下は学生で大混雑で、教室も定員オーバー。
9月は新しい学年に進級する季節で、学生であふれる時期でもある。
生活は元に戻りつつある中、9月に入り、感染者数は激増。
過去最多となる、1日あたり1万人を超える日を22日発表時点で、6回記録している。
政府はPCR検査の実施を増やすなど対応に追われているが、現時点で、再び緊急事態宣言を出す予定はないという。
これに対し、街の人は「(現状に不安はありますか?)う~ん...そうだな、いやないね」、「年末には落ち着いているよ」、「ウイルスがいなくなるまで、焦らずにいこうじゃないか」と、感染者が激増していても、市民の受け止めは冷静。
そんな中、パリ市民の関心は、ある新しいものに寄せられていた。
それは、ステイホームでも外の空気を楽しめるバルコニー。
不動産の関係者「テラスや小さな庭を持たない人にとって、外出規制はとても耐えがたいものでした。その影響で今、外を感じられるような物件が非常に人気となっています」
一方、新型コロナウイルスの影響は、こんなところにも。
フランス支局のモセ・ルアナ記者「このあたりにバレーボールの会場が建設される予定でしたが、経費削減のため、変更されました」
東京オリンピックの次、パリオリンピックに向けて予定していた競技場の建設を断念。
さらに、競技場を結ぶ地下鉄の建設も間に合わないかもしれないという。
国民の意識と現実には、大きなずれが生まれ始めているよう。
続いては、上海。
半年“感染ゼロ”、市民の暮らしは?
中国政府の発表によると、上海では3月下旬から、市民の新規感染者はおよそ半年間、1人も出ていない。
街を歩いていると...。
上海支局・森雅章記者「マスクをしている人としていない人には、差がある感じがします」
現在、上海市政府のガイドラインでは、例えば、人が密集せず風通しが良ければマスクを着ける必要はないとされている。
とある広場を訪れてみても、カラオケを熱唱する女性の周りを見ると、マスクを着けている人のほうが珍しい。
そして、こちらもマスクなし。
雨が降っても踊り続ける。
さらに上海では、9月9日から地元政府がスポーツ施設の利用料を補助するキャンペーンを始めて、施設は利用者でにぎわっている。
日本のジムで必須のマスクも、ほとんどしていない。
それでも、事前の体温検査に加え、換気や消毒など、対策は万全だと胸を張る。
ジムのサブマネジャー・王亮さん「わたしたちは、国が行っている感染防止策を信じています。だから、今はそんなに心配ありませんよ」
感染拡大前に戻りつつある、上海市民の生活。
しかし、それはある場所で一変する。
およそ半年間、市民の感染者が1人も出ていないという上海。
広場やスポーツジムなどでは、マスクを着けていない人が目立つ一方、ある場所に行くと、全く違う光景が。
上海市内を走る、地下鉄の駅。
みんなマスクをしている。
上海の地下鉄は、今でもマスクの着用がルールとなっている。
マスクなしだと警備員に止められ、地下鉄に乗ることはできない。
車内でも対策を呼びかけていた。
車内アナウンス「マスクをしてください。人混みは避けましょう」
駅に到着する直前に、このアナウンスで予防を訴える。
さらに街には、PCR検査を受けられる病院が数多くある。
でも、感染者ゼロなのに、なぜ検査を?
検査を受けに来た人「学校からの指示です。入学に必要なんです」
ほかにも、出張帰りで会社に求められたり、発熱時に念のため受けるケースも多いという。
料金は2,000円ほどで予約不要の病院も。
検査結果は、ほぼ翌日に出るという。
そして取材中、住宅街の入り口で謎の赤い壁を発見。
何なのか...。
上海支局・森雅章記者「こちら、上海の住宅街なんですが、前方に住民たちが作った壁がいまだに残されています」
これは、2020年2月ごろ、感染者が入ってこないようにと住民が建てた壁。
今も撤去されないのは、新型コロナウイルスへの警戒心が残っているからかもしれない。
ウイルスへの対応。
それは、国や地域によって大きな差が生まれていた。
(2020/09/25)
#新型コロナウイルス
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グアムで、街から人が消えた。
1日あたり過去最多の感染者数を記録したフランス・パリでは、“密”を気にせずパーティー?
感染対策は、どうしたのか?
そして、新規感染者ゼロを更新中の中国・上海では、戻ってきた日常。
しかし、その裏には...。
日本の常識でははかれない、世界の現実を緊急取材。
まずは、グアム。
なぜ今? 再びのロックダウン。
世界では人出が戻りつつある中、グアムの中心地・タモンは何やら様子がおかしい。
撮影したのはつい先週なのに、ショップもレストランも全て閉まり、街から人が消えた。
ビーチも、まるで無人島。
人気の観光地グアムで一体、何が起きているのか。
グアム政府観光局の村田悟理事に聞いてみると、「(8月の)日々の新規感染者がゼロということもあったんですけど、そういった状況が安定した中で制限措置が徐々に解除されて、緩んだところで感染が再び広がってしまった」と話す。
明暗を分けたのは、7月下旬。
1回目のロックダウンを解除したころだった。
そこを境に、感染者数は急増。
これまで確認されている2,147人の感染者のうち、およそ8割が8月以降の感染者だという。
解除が早すぎたのか。
グアムでは、8月中旬から再びロックダウンに突入した。
最高レベルのステイホーム命令が発令され、病院やスーパーマーケットなど、命にかかわる仕事以外は休業となった。
そんなグアムで今、新たな現象が。
マクドナルドに入ってきた1台の車。
続けざまに、もう1台。
駐車場を見てみると、長い車の列ができていた。
ドライブスルーの利用者だった。
現在、飲食店では店内の利用が禁止されているため、至るところでドライブスルーの列ができていた。
このカフェでは、コーヒーを求める車の列。
さらに、こんな意外な場所でも...。
2020年4月にオープンしたばかりのホテル「The Tsubaki Tower」。
今回のロックダウンで始めたドライブスルーが、ホテル自慢のケーキ。
そして、中には早朝から多くの人が訪れる場所が。
時刻は店の開店時間、午前6時。
ここは、地元で人気のスーパーマーケット。
お客さんを見てみると、皆、高齢者。
実は今、グアムでは高齢者や妊婦さんなど、感染リスクの高い人たちを対象に、通常より1時間早い午前6時から店を開けているという。
再びのロックダウンで逆戻り。
グアムは今、深刻な局面を迎えていた。
続いては、パリ。
1日あたりの感染者数、過去最多なのに...。
緊急事態宣言下のフランスでは、2020年5月以降、1日の感染者数は、おおよそ1,000人未満に抑えられていたため、7月中旬に宣言が解かれ、バカンスに突入。
ビーチは、人であふれ返った。
さらに、イベントもこの盛り上がり。
会場は超満員だが、マスクをしている人は見当たらない。
夜の路上は人でいっぱい。
さらに、別のバーでは酒やダンスで大はしゃぎ。
屋内なのに誰もマスクを着けていない。
一方、大学構内で撮影された写真。
廊下は学生で大混雑で、教室も定員オーバー。
9月は新しい学年に進級する季節で、学生であふれる時期でもある。
生活は元に戻りつつある中、9月に入り、感染者数は激増。
過去最多となる、1日あたり1万人を超える日を22日発表時点で、6回記録している。
政府はPCR検査の実施を増やすなど対応に追われているが、現時点で、再び緊急事態宣言を出す予定はないという。
これに対し、街の人は「(現状に不安はありますか?)う~ん...そうだな、いやないね」、「年末には落ち着いているよ」、「ウイルスがいなくなるまで、焦らずにいこうじゃないか」と、感染者が激増していても、市民の受け止めは冷静。
そんな中、パリ市民の関心は、ある新しいものに寄せられていた。
それは、ステイホームでも外の空気を楽しめるバルコニー。
不動産の関係者「テラスや小さな庭を持たない人にとって、外出規制はとても耐えがたいものでした。その影響で今、外を感じられるような物件が非常に人気となっています」
一方、新型コロナウイルスの影響は、こんなところにも。
フランス支局のモセ・ルアナ記者「このあたりにバレーボールの会場が建設される予定でしたが、経費削減のため、変更されました」
東京オリンピックの次、パリオリンピックに向けて予定していた競技場の建設を断念。
さらに、競技場を結ぶ地下鉄の建設も間に合わないかもしれないという。
国民の意識と現実には、大きなずれが生まれ始めているよう。
続いては、上海。
半年“感染ゼロ”、市民の暮らしは?
中国政府の発表によると、上海では3月下旬から、市民の新規感染者はおよそ半年間、1人も出ていない。
街を歩いていると...。
上海支局・森雅章記者「マスクをしている人としていない人には、差がある感じがします」
現在、上海市政府のガイドラインでは、例えば、人が密集せず風通しが良ければマスクを着ける必要はないとされている。
とある広場を訪れてみても、カラオケを熱唱する女性の周りを見ると、マスクを着けている人のほうが珍しい。
そして、こちらもマスクなし。
雨が降っても踊り続ける。
さらに上海では、9月9日から地元政府がスポーツ施設の利用料を補助するキャンペーンを始めて、施設は利用者でにぎわっている。
日本のジムで必須のマスクも、ほとんどしていない。
それでも、事前の体温検査に加え、換気や消毒など、対策は万全だと胸を張る。
ジムのサブマネジャー・王亮さん「わたしたちは、国が行っている感染防止策を信じています。だから、今はそんなに心配ありませんよ」
感染拡大前に戻りつつある、上海市民の生活。
しかし、それはある場所で一変する。
およそ半年間、市民の感染者が1人も出ていないという上海。
広場やスポーツジムなどでは、マスクを着けていない人が目立つ一方、ある場所に行くと、全く違う光景が。
上海市内を走る、地下鉄の駅。
みんなマスクをしている。
上海の地下鉄は、今でもマスクの着用がルールとなっている。
マスクなしだと警備員に止められ、地下鉄に乗ることはできない。
車内でも対策を呼びかけていた。
車内アナウンス「マスクをしてください。人混みは避けましょう」
駅に到着する直前に、このアナウンスで予防を訴える。
さらに街には、PCR検査を受けられる病院が数多くある。
でも、感染者ゼロなのに、なぜ検査を?
検査を受けに来た人「学校からの指示です。入学に必要なんです」
ほかにも、出張帰りで会社に求められたり、発熱時に念のため受けるケースも多いという。
料金は2,000円ほどで予約不要の病院も。
検査結果は、ほぼ翌日に出るという。
そして取材中、住宅街の入り口で謎の赤い壁を発見。
何なのか...。
上海支局・森雅章記者「こちら、上海の住宅街なんですが、前方に住民たちが作った壁がいまだに残されています」
これは、2020年2月ごろ、感染者が入ってこないようにと住民が建てた壁。
今も撤去されないのは、新型コロナウイルスへの警戒心が残っているからかもしれない。
ウイルスへの対応。
それは、国や地域によって大きな差が生まれていた。
(2020/09/25)
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