経済学部 大垣昌夫 - 経済倫理への新たなアプローチ〜徳倫理
慶應義塾大学経済学部教授 大垣昌夫 研究紹介
慶應義塾大学経済学部大垣昌夫教授は、徳倫理を経済学に取り入れる研究を進めています。
「今力を入れて研究しているのが徳倫理、倫理理論は色々ありますが、三大理論と呼ばれるのが、ひとつは功利主義。功利主義は経済界ではかなり狭くて使いにくい面があるので、厚生主義という風に、厚生というのは経済学では生活満足度のような、消費が増えたり、余暇が増えたりすると満足度が上がります。そういうものを中心に考えた厚生、ある種の幸福概念を考えて、その厚生と言うものがひとりでも上がり他の人が下がらないならば、それは良い事であると考えるのが、厚生主義という倫理理論です。徳倫理という理論は、これは主に共同体に関わる事で、共同体と言うものが何かあります。その共同体に貢献するためには、まず、人格的に、利己的な人と言うのはなかなか共同体に貢献はないので、人格的な成長、これを美徳ですね。徳倫理というのは徳の事を非常に強調するわけです。徳をまず立ち上げていき、徳を獲得したら、それと色んな能力と併せて共同体に貢献していきます。貢献する時に、充実感みたいな幸福感があってエウダイモニアと言います。「良き生」と訳されることが多くて、ひとつの厚生概念です。幸福のひとつの概念で、これが充実感で、さっきの経済学者が主に使っている幸福概念というのは、我々は高揚と呼んでいる。生活満足度というと一番わかりやすいが、生活満足度を中心に考えるか、エウダイモニアみたいな充実感的なものを中心に考えるかによって、違う倫理理論があると。」
大垣教授は現在、この倫理学理論を経済学理論に適した形で組み込もうとしています。
「経済学の中に色々な倫理理論や原則を入れようという動きは長い間あります。例えばこの研究で使っている中の考え方は色々な選好があって、その中に倫理的に望ましいものがあると。これをメタ選好と呼んでいますが、色々ある中で、どの選好が良いかを考える。メタ選好の考えを経済学に取り入れたのはノーベル賞経済学者のアルマティア・センです。メタ選考は徳倫理と特に結びついてはいなかったが、それをまず結びつけているわけです。もうひとつの流れとして、内性的選好と呼んでいるモデルが経済学にあり、特に自分や親が何かしたりすることによって、選好が変わると言うよりは生まれた時から一定の選好を持っているというモデルが多いんですが、私が研究して来たのは、子供の選好というのは、かなり親に影響を受けていると。例えば親が非常に子供を甘やかしておもちゃやお菓子を子供時代に与え過ぎると、子供はだんだん甘やかされて、忍耐強くなくなると。これを内生的に親の行動によって、内性的と言うのは経済システムの中で決まる何かの行動等によって、選好が変わる。遺伝で決まっているわけじゃないと。その徳倫理というのとメタ選好という考えと内性的選好、その3つを組み合わせているわけです。そこに独自性があります。」
大垣教授は今後、『エウダイモニア』と『幸福の経済学』について研究を進めていきます。
「幸福概念の違いと言うのも非常に重要で今「幸福の経済学」という分野が最近になって非常に発展していますが、中でもエウダモニアを色々考える事が多くなっていて、その研究が私の研究にとっても非常に重要だと思っています。どういう時に人々は充実感を感じるのか。
特にエウダモニアに関する共同体の絆に関する幸福感の研究が重要になると思います。例えば政府がどういう政策をすれば絆を深めるような行動を奨励する事ができるのか、あるいは今まで考えて来なかったけれども、今まで使って来た政策で、あるいは絆をむしろ弱めるような政策があるのかもしれない。そういう事を評価していく。そのために頭で考えるだけでは、なかなかわからないので現場主義と言いますか。政策を考えている時には、できるだけインタビューも使って、色んな生活の現場でこの問題を考えていきたいと個人的には研究計画を考えています。」
Видео 経済学部 大垣昌夫 - 経済倫理への新たなアプローチ〜徳倫理 канала Keio University Mita Campus
慶應義塾大学経済学部大垣昌夫教授は、徳倫理を経済学に取り入れる研究を進めています。
「今力を入れて研究しているのが徳倫理、倫理理論は色々ありますが、三大理論と呼ばれるのが、ひとつは功利主義。功利主義は経済界ではかなり狭くて使いにくい面があるので、厚生主義という風に、厚生というのは経済学では生活満足度のような、消費が増えたり、余暇が増えたりすると満足度が上がります。そういうものを中心に考えた厚生、ある種の幸福概念を考えて、その厚生と言うものがひとりでも上がり他の人が下がらないならば、それは良い事であると考えるのが、厚生主義という倫理理論です。徳倫理という理論は、これは主に共同体に関わる事で、共同体と言うものが何かあります。その共同体に貢献するためには、まず、人格的に、利己的な人と言うのはなかなか共同体に貢献はないので、人格的な成長、これを美徳ですね。徳倫理というのは徳の事を非常に強調するわけです。徳をまず立ち上げていき、徳を獲得したら、それと色んな能力と併せて共同体に貢献していきます。貢献する時に、充実感みたいな幸福感があってエウダイモニアと言います。「良き生」と訳されることが多くて、ひとつの厚生概念です。幸福のひとつの概念で、これが充実感で、さっきの経済学者が主に使っている幸福概念というのは、我々は高揚と呼んでいる。生活満足度というと一番わかりやすいが、生活満足度を中心に考えるか、エウダイモニアみたいな充実感的なものを中心に考えるかによって、違う倫理理論があると。」
大垣教授は現在、この倫理学理論を経済学理論に適した形で組み込もうとしています。
「経済学の中に色々な倫理理論や原則を入れようという動きは長い間あります。例えばこの研究で使っている中の考え方は色々な選好があって、その中に倫理的に望ましいものがあると。これをメタ選好と呼んでいますが、色々ある中で、どの選好が良いかを考える。メタ選好の考えを経済学に取り入れたのはノーベル賞経済学者のアルマティア・センです。メタ選考は徳倫理と特に結びついてはいなかったが、それをまず結びつけているわけです。もうひとつの流れとして、内性的選好と呼んでいるモデルが経済学にあり、特に自分や親が何かしたりすることによって、選好が変わると言うよりは生まれた時から一定の選好を持っているというモデルが多いんですが、私が研究して来たのは、子供の選好というのは、かなり親に影響を受けていると。例えば親が非常に子供を甘やかしておもちゃやお菓子を子供時代に与え過ぎると、子供はだんだん甘やかされて、忍耐強くなくなると。これを内生的に親の行動によって、内性的と言うのは経済システムの中で決まる何かの行動等によって、選好が変わる。遺伝で決まっているわけじゃないと。その徳倫理というのとメタ選好という考えと内性的選好、その3つを組み合わせているわけです。そこに独自性があります。」
大垣教授は今後、『エウダイモニア』と『幸福の経済学』について研究を進めていきます。
「幸福概念の違いと言うのも非常に重要で今「幸福の経済学」という分野が最近になって非常に発展していますが、中でもエウダモニアを色々考える事が多くなっていて、その研究が私の研究にとっても非常に重要だと思っています。どういう時に人々は充実感を感じるのか。
特にエウダモニアに関する共同体の絆に関する幸福感の研究が重要になると思います。例えば政府がどういう政策をすれば絆を深めるような行動を奨励する事ができるのか、あるいは今まで考えて来なかったけれども、今まで使って来た政策で、あるいは絆をむしろ弱めるような政策があるのかもしれない。そういう事を評価していく。そのために頭で考えるだけでは、なかなかわからないので現場主義と言いますか。政策を考えている時には、できるだけインタビューも使って、色んな生活の現場でこの問題を考えていきたいと個人的には研究計画を考えています。」
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8 апреля 2015 г. 10:17:13
00:06:26
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