法科大学院 六車明 - 環境と経済のかかわり、ある個人にとっての環境法

慶應義塾大学法科大学院教授　六車明　研究紹介
環境と経済のかかわり、ある個人にとっての環境法
法律と経済は、社会システムの中で、どのように結合し、あるいは分離をしているか。慶應義塾大学法科大学院 六車明教授は、この研究課題を3つのテーマに分けて解明しようとしています。第１のテーマは、環境あるいは環境法が経済とどのようにかかわっているのかを「ある個人にとっての環境法」という視点から明らかにすることです。

「環境法という面で言えば、今まで十数年一般的に勉強してきましたが、最近になって一般的な法律を作るとかという問題だけでなく、一人ひとりの人間から見て環境というのはどのようなものだろうか考えるようになりました。環境法に関して、例えば情報を色んな人に広めるにしても、一般的な人がそれを受けるのではなくてこの人がこの情報を受ける、どういう状態で受けるのか、どのようなな情報を出したらその人に着くのかと、そういうことも考える必要があるのではないか思います。」

第２のテーマは、環境にかかわる紛争を含め、世の中にある「争いごと」というものは、どのようにして発生し、どのような内容で結末を迎えのるかということを明らかにすること。第３のテーマは、法律と経済の理解を深めるため、日本の最高裁判所の判例について、経済学の視点からどのように評価をすることができるかを明らかにすることです。

「争い事はどのように解決されていくのだろうかと考えるようになりました。裁判で解決することもあるだろうけど、裁判でないところ、様々なところで解決されている。色々な地域とかあるいは人のつながりとか色々なことがあって、もっとそれは広く知っておくべきではないかと、それはまた日本特有のということがあるでしょうから。私も自分の経験を踏まえて、色々な事件、事案に相応しい解決の仕方、そういうことを探っています。」

裁判官を中心として法律実務を２０年以上経験している六車先生のこれらの研究は独自性が高く、日本におけるこの分野の研究を発展させるものと期待されています。

「そういう流れの中で大きな企業が中心かもしれませんが、環境に対する対策、あるいは株主に対する関係でも環境にお金を使っていこうという企業が急速に増えてると思います。そのような時にあって、逆にまだ十分そういう恩恵というか、いいところが届いていない人がいるのではないかと思います。そういう人は声も出せないし場合によっては動けないとかがあり、そういう人たちに対して法があると思いますし、私もそうのように習ってきたので、環境法もそのような人たちのことを考え、あるいは望んでいるところを汲み取りながら、環境法というのはどうあるべきかということを考えていきたいと思っています。」

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