古賀政男・影を慕いて（藤山一郎・歌唱）

古賀政男のギター歌曲の傑作、「影を慕いて」です。「影を慕いて」は昭和４年６月、明治大学マンドリン倶楽部定期演奏会でギター合奏（ワルツ）で初演、昭和６年１月佐藤千夜子盤がビクターから新譜発売されましたが、レコードは売れず、昭和７年、東京音楽学校が期待する声楽本科在学の藤山一郎（増永丈夫）の再吹込み（コロムビア）によって一世を風靡しました。昭和の恐慌で傾いた生家の借財返済のためにコロムビアで流行歌の吹込みのアルバイトが流行歌手としてのデビューでした。西洋音楽芸術の声楽を正統に解釈した歌唱芸術によって「酒は涙か溜息か」「丘を超えて」を大ヒットさせ、古賀政男の芸術を広めました。同年暮れ、藤山は本名の増永丈夫で「ローエングリン」（クラウス・プリングスハイム・指揮）を日比谷公会堂で独唱。ヴーハーペーニッヒ、マリア・トルら外国人歌手と伍してのバリトン独唱でした。昭和８年、東京音楽学校（現東京芸術大学）を首席卒業しビクター専属アーティストとしてクラシック（増永丈夫）と流行歌（テーナー藤山一郎）に活躍します。画像は菊池清麿著の『評伝古賀政男　日本マンドリン＆ギター史』（彩流社）

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