上海、人が居ない街 虹口区舟山路 2025年5月撮影

上海市虹口区の舟山路（Zhoushan Road）は、かつてのユダヤ人避難民コミュニティの中心地として知られる歴史的に重要なエリアです。以下にその特徴や歴史的背景をまとめます。

### 1. **地理的な位置**
舟山路は虹口区の北東部に位置し、かつての「上海ゲットー」（無国籍避難民限定区域）の一部でした。周辺には長陽路（旧ワード路）や霍山路（旧匯山路）などが交わり、戦前・戦中にはユダヤ人難民の生活圏として機能しました。

### 2. **歴史的背景**
- **ユダヤ難民の避難先**：1930年代後半から1940年代にかけて、ナチスの迫害から逃れた約2万人のユダヤ人難民が上海に渡り、その多くが虹口区に定住しました。舟山路周辺には安価な住宅やシナゴーグ（ユダヤ教会堂）、カフェ、商店が立ち並び、「リトル・ウィーン」と呼ばれる独自の文化圏を形成しました。
- **戦時中の隔離区域**：1943年、日本占領下で「無国籍避難民限定区域」に指定され、ユダヤ人は自由な移動を制限されましたが、舟山路は彼らの生活と交流の中心地として機能しました。

### 3. **現存する文化的遺産**
- **モスクワ・シナゴーグ（現上海犹太难民纪念馆）**：長陽路62号に位置するこの建物は、当時のユダヤ人コミュニティの精神的支柱でした。現在は資料館として公開され、難民の歴史を伝えています。
- **舟山路の建築**：一部の建物には当時のアール・デコ調や欧風のデザインが残り、戦前の国際色を感じさせます。例えば、舟山路52-54号のアパートは難民居住地の名残です。
- **霍山公園**：近隣のこの公園は、ユダヤ難民の憩いの場であり、現在は記念碑が設置されています。

### 4. **現在の様子**
- **記念施設と観光地化**：舟山路周辺は「上海犹太难民歴史街区」として整備され、観光客向けの説明板や記念プレートが設置されています。
- **日常的な街並み**：歴史的建造物の間に庶民的な商店や住宅が混在し、当時の面影と現代の生活が共存しています。特に舟山路菜市場（市場）では地元の生活を垣間見られます。

### 5. **文化的意義**
舟山路は「東洋のナルビク」と呼ばれた上海の多元性を象徴する場所です。戦争の悲劇を超え、異文化を受け入れた上海の歴史を体現しており、国際的な和解の象徴としても注目されます。

### 6. **アクセス**
舟山路へは地下鉄4号線「大连路駅」から徒歩約10分。周辺には史料館やカフェが点在するため、歴史散策に適しています。

虹口区舟山路は、ユダヤ難民の記憶と上海の包容力を伝える生きた博物館のような街です。短い路地の中に、戦争と共生の重層的な歴史が刻まれています。

上海、人が居ない街 虹口区舟山路 2025年5月撮影

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