4K映像 追悼3.11 あの日から10年 朝映満開「わに塚の桜」 日本の美しい四季 山梨県韮崎市 4月上旬 自然風景 ベートーヴェン: 『悲愴』 絶景 一本桜 春 cherry blossom

撮影年月日2015.4.6　撮影機材SONY FDR-AX100
使用ＢＧＭ(Beethoven - Sonata in C Minor Op. 13 (Pathetique))は業務用ライセンスフリー音源サイト『PremiumBeat.com』より購入した音源であり、著作権上何ら問題ありません。
随想　「わに塚の桜」の思い出　　#東日本大震災　#宮沢賢治　#銀河鉄道の夜

　10年前の2011年4月頭、東日本大震災と原発事故で日本がどうなるか分からない絶望の中、この桜に逢いたく、人がまだ外出を避けるなか、夢中で撮影し一月後Youtubeに投稿した。
　計画停電は終了していたが、大気中、水道中の放射性物質にも気を遣う毎日が続いていた。そこには励ますように例年と変わりない穏やかな春が訪れていた。https://youtu.be/lkhToils7d4

　山梨県韮崎には新府桃源郷（新府城）にも4月中旬、桃の花を撮影に幾度か訪れた。私の生まれは長野県諏訪の上原城下で先祖は武田信玄の家臣と聞いたことがある。2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」冒頭から武田勝頼の最期が丁寧に描かれており、新府城の歴史と儚さを知った。

　私は、宮沢賢治をはじめ岡本太郎、寺山修司、実相寺昭雄ほか異端と呼ばれる多くのクリエイター達の圧倒的な感性に大きな刺激を受けてきた。人生の半ばを過ぎ私も何か遺していきたいと思うようになり、まだYoutubeがない頃から地域をテーマにした映像を制作してきた。

　私の故郷八ヶ岳山麓は、宮沢賢治の故郷岩手県花巻とは直接の関係はないが、似たような自然豊かな田舎里山と思われ、感性を豊かにしてくれる故郷であり作品にも影響してきたと思う。
「君の名は。」の新海誠監督も八ヶ岳山麓小海町で育ち素晴らしい感性が作品に反映されてる。

　2013年3月6日、NHK BSで宮沢賢治没後80年を記念した『80年後のKENJI〜宮沢賢治 映像童話集〜』の第5回と第6回として、「銀河鉄道の夜」前編と後編が放送された。
　ジョバンニを仲野太賀、カムパネルラを 染谷将太、カムパネルラの父を田中哲司がしみじみと演じていた。銀河鉄道のCGは「ALWAYS三丁目の夕日」で知られる白組が制作し、賢治のイメージを忠実に再現していて、今まで見たことのない銀河鉄道の映像美にとても感動した。
　私の中でそれまでジョバンニとカムパネルラは小さい子供のイメージだったが、この話では高校生位の設定で違和感もあったが、新鮮で何故か心に染みた。５年後この配役に納得できた。

　カムパネルラの父がジョバンニに、息子カムパネルラが亡くなった日の不思議な体験を聞かせてもらう後日談となっており、没後８０年記念番組と題しているが、放送時期と内容から3.11で犠牲に亡くなられた方々への追悼、残された者への復興への励ましがテーマであった。
　人は死んだら、何も無くなるのではなく、銀河鉄道を旅しながら天上界へと成仏していく。劇中たびたび使用されたベートーヴェンの『悲愴』が今でも私の中に映像とリンクしている。

　愛する妹「トシ」の死による喪失感から賢治は「銀河鉄道の夜」を創作したとされていた。だが、それだけではないことが、2018年12月15日22日にNHK BS4K「映像詩 宮沢賢治 銀河への旅　～慟哭の愛と祈り～」が放送されジョバンニとカムパネルラとの関係性が理解できた。
　「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」などの代表作誕生の背景には、盛岡高等農林学校で賢治の一年先輩で親友である保阪嘉内が影響していると初めて知った。「銀河鉄道の夜」のジョバンニは宮沢賢治自身でカムパネルラのモデルは、保阪嘉内だったのだ。

　保阪嘉内は山梨県北巨摩郡駒井村、現在の韮崎市出身で、この八ヶ岳おろしが厳しくも美しい情景のなかで育ち、嘉内の原風景である八ヶ岳山麓が賢治の作品に多きく影響していたことに驚愕した。多分、賢治は八ヶ岳には訪れていないが、学生時代に嘉内と岩手山を登山するなど、行動を共にする中で、八ヶ岳山麓にまつわる話を興味を持って聞いていたのだろう。
　私の勝手なこじつけだが、自分が憧れている宮沢賢治とは八ヶ岳で繋がってくれたこと。
　10年前の東日本大震災では、私の日常を取り戻そうとして、先祖にも無縁ではない韮崎に訪れたことは、私の人生にとっての運命も感じる非常に感慨深い「わに塚の桜」である。

　現在、私にとってのリアルなカムパネルラは残念なことに存在しないが、不思議にも孤独は感じていない。これからまだ続く創作の旅をしていくうえで、直接の知り合いではなくとも作品を見て共感してもらえる、お一人お一人が、私にとっては時空を超え一緒に銀河を旅するかけがいのない魂のカムパネルラなのだ。

　作品をとおして、たとえ僅かな人でも、心励まされたり、心豊かに穏やかな気持ちになってもらいたい。そんな心に響く作品を、残された限りある時間で作っていけたら、私にとってはそれがジョバンニ（賢治）の言うところの『ほんとうのさいわい』なのかもしれない。

　作品を制作していくうえで、私にとって大きな励み原動力は、ご覧いただく皆様からの暖かいコメントを頂くことです。
　しかし、私自身が筆不精であること、多くの方と交流するより創作に注力したいこと、制作者への先入観無しで作品を鑑賞いただきたく、失礼ながら殆どのコメントに返信していない。

　今回、一方的ではありますが、普段のコメントに対する感謝の返信として、自身の心情を申述させていただきました。これからもよろしくお願いします。

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