【ジンガのリズム】ネイマールの物語/Neymar JR

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ネイマール
「ネイマール・ダ・シウバ・サントス・ジュニオール」
王国ブラジルの生んだ天才が盟友リオネル・メッシと袂を分かつことになったのは
2017年のことである。移籍金は驚きの2憶2200万ユーロ(約284億円)。
フランス・リーグ1所属のパリ・サンジェルマンに活躍の場を移すことになった。
その後、パリの王としてキリアン・エンバぺらスーパースターと共に活躍を続けている。

サンパウロ州モジ・ダス・クルーゼスに生まれたネイマール。生後すぐに車の事故から奇跡的に助かったことがある。家族で親戚の家へ向かっていたところ、坂道でスリップした車と衝突。後部座席が大破したもののベビーシートに乗っていたネイマールは無傷だったという。
　また、ネイマールの家庭は決して裕福ではなく家に電気が通っておらず、ロウソクの光で勉強していた。父親であるネイマール・ダ・シウバの協力もあり、ネイマールは幼少期からサッカーの才能を開花させていく。

　ネイマールが本格的にボールを蹴り始めたのはフットサルチームに加入してからである。
すると、すぐに類まれな才能と確かな技術で頭角を現す。そんな息子の才能を確信した父親はプロとして活躍する場を模索していた。そんなネイマールに両親はこんな言葉を送っている。「多分、運命はあなたにもっと私たちより良い両親を与えることはできたでしょう。でも、あなた以上に素晴らしい息子を与えることはできないでしょう。」
この言葉には両親のネイマールに対する期待と愛情が詰まっている。

　1999年には、ポルトゥゲーザ・サンチスタのユースクラブ入団を経て、2003年にはブラジルの名門サントスFCのユースクラブに移籍することとなる。ユース年代で活躍し17歳の時にはトップチームに昇格。2005年1月には当時12歳だったネイマールはスペインの強豪レアル・マドリードと契約寸前までいったもののサントスFCがネイマール引き留めの為に高額な給与を提示した為に最終的には契約に至らなかった。
13歳の時には元ブラジル代表であるロビーニョ選手の主催するチャリティーマッチに参加し印象的な活躍を残し一躍、ネイマールの名は知れ渡ることになる。
　2008年にはサントスFCと正式なプロ契約を結び、違約金は5000万ユーロに設定された。
サンパウロ州選手権のオエステFC戦でデビューしたネイマールは圧倒的なテクニックでチームを逆転勝利に導き、翌節にはモジミリンEC戦ではプロ初ゴールを記録。観戦に訪れていたブラジルの英雄ペレに「彼は私を超える潜在能力を持っているかもしれない。」とまで言わしめ、ますます評価を高めていく。
　2011年のコパ・リベルタドーレス決勝戦のCAペニャロール戦では、ホームでの第2戦で貴重な先制ゴールを挙げ2-1での勝利に貢献。1963年大会以来、三度目のコパ・リベルタドーレス制覇を達成。その年の12月、日本で開催されたFIFAクラブワールドカップに南米代表として出場し
決勝でFCバルセロナと対戦。メッシを中心としたバルセロナの攻撃に為す術なく0-4で敗れ準優勝に終わっている。こうして世界的な選手へと成長していくネイマールだが、サントス在籍時には監督とPKキッカーを外されたことで衝突し、監督は罰としてネイマールを試合で使わなかった。するとクラブは監督をクビにしネイマールを支持したのである。このことからもネイマールはクラブにとって一選手以上の存在だったことが伺える。
　その後、2013年にはサントスからFCバルセロナへの移籍が決まり最終戦の国家斉唱時には涙する場面もあった。

2013年、5月26日にバルセロナとの5年契約での合意が発表され6月3日に正式契約を締結した。
チアゴ・アルカンタラの移籍により背番号は11番に決定する。
移籍初年度は、スーペル・コパのアトレティコ・マドリード戦ではチームを優勝に導くゴールを決める。さらには、初めて出場した宿敵レアル・マドリードとの「エル・クラシコ」では1ゴール1アシストと活躍し2-1での勝利に貢献した。

　2014年はネイマールにとって飛躍の年となる。メッシやスアレスと共に3トップを形成しゴールを量産。公式戦39ゴール。「MSN」と呼ばれた上記2人との3トップではスペイン史上最多となる122ゴールを叩き出しリーガエスパニョーラ、コパデルレイ、チャンピオンズリーグと3冠を達成。自身でもチャンピオンズリーグ決勝戦でダメ押しの1点を挙げメッシ、クリスティアーノ・ロナウドと共に得点王に輝いている。また欧州と南米でクラブ王者を獲得した8人目の選手となった。同シーズンに開催されたFIFAクラブワールドカップでは決勝でもメッシ、スアレスのゴールをアシストするなど活躍し2011年には決勝で敗れたバルセロナの選手として優勝を果たしている。
　また、プライベートではポーカーの愛好家であり、オンラインポーカーサイトのブランドアンバサダーに就任。ちなみに愛犬の名前も「Poker」である。こうした趣味をSNSで頻繁に公開していたことから、クラブからお叱りを受けたことも。

迎えた2015-16シーズンは、エースであるメッシの負傷による不在時にチームを牽引し公式戦31ゴール16アシストを記録しリーガとコパの連覇に貢献。同年のFIFAバロンドールの最終候補にも選出される。
　2016年にはクラブと2021年までの契約更新に合意し契約解除金は最大で2億5000万ユーロにも上った。2016-17シーズンのネイマールは決して満足のいく出来ではなかった。3か月以上リーグ戦でゴールが決まらない時期もあった。しかし、チャンピオンズリーグでのPSG戦でのパフォーマンスは圧巻だった。アウェイでの第1戦を落とし、第2戦も88分まで劣勢の状況で勝ち抜けには3ゴールが必要だった。そんな中、FKから1点を決め、直後のPKもきっちりと決めきる。
この試合のネイマールには何が何でも勝ってやるという強い意志が感じられた。そんな中アディショナルタイムにネイマールからのラストパスをセルジ・ロベルトが押し込み奇跡の逆転を果たしたのだ。普段は挑発的なプレーなども多く批判を浴びることもあったネイマールがチームの為に献身的にプレーしたことは驚きと共にネイマールの成熟を感じさせる試合となった。

2017年にはネイマールにPSGへの移籍が噂される。メディアもネイマールの動向に注目する中、自身のプロモーションの為に中国へ渡っていたネイマールは帰国後、チームに合流することなくバルセロナからネイマールが退団する意向にあることが発表され、現地時間の8月3日にネイマール名義で契約解除金である2億2200万ユーロが支払われたことが発表された。

　2017年8月3日に正式にPSGへの移籍が発表された。背番号は10番を着用し2022年までの5年間の契約を締結した。デビュー戦のEAギャンガン戦では1ゴール1アシストを記録。翌年2月のマルセイユ戦で足を骨折し離脱したものの公式戦30試合で28ゴールを記録した。
　2018－19シーズンにはチャンピオンズリーグのレッドスター戦ではハットトリックを記録するなど活躍したが、再び骨折で離脱。チームもチャンピオンズリーグではベスト16のマンチェスター・ユナイテッドに敗戦しネイマール自身も審判の判定にSNSで異議を唱え3試合の出場停止を受けてしまう。
　迎えた19-20シーズンは開幕前に移籍話が噴出しサポーターの怒りを買ってしまう。
ホーム戦でもブーイングを受けるなど苦しい時期を過ごすが、自身のゴールなどで勝利を掴み雑音を消していく。クラブの悲願であるチャンピオンズリーグでは躍進。エンバぺなどの活躍もありグループリーグを突破するとベスト16ではドルトムントを下し勝ち抜きネイマール自身もゴールで勝利に貢献した。その後、新型コロナウィルスの影響でポルトガルでの一発勝負のミニ・トーナメントが行われることとなりベスト8ではイタリアのアタランタを終盤の2ゴールで逆転突破し勢いそのままにライプツィヒを3-0と完封し初めてのビッグ・イヤー獲得に王手をかける。決勝ではバイエルン・ミュンヘンにハイレベルの攻防の末、後半に元PSGのコマンの一撃に沈み惜しくも準優勝に終わる。敗戦後は人目を憚らず涙を流したネイマール。今季は国内3冠を達成したものの、悲願の達成は来季へ持ち越されることとなった。

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