ユーカリさん、ありがとう！　Giraffe(キリン)　～ 多摩動物公園 ～

(多摩動物公園　キリン)

２０２２年４月２６日にユーカリさんが亡くなりました。
１５歳７ヶ月でした。
ユーカリさんの死因はミオパチー(横紋筋融解症)になっていますが、ミオパチーとは筋肉の変性・壊死により生じた毒素が血中に入り、心肺や腎臓の機能不全をきたすことで、立てなくなったことが直接の原因なのでしょうか。

ユーカリさんは以前より過長蹄(※１)の兆候があり、一時は少しづつ削蹄が行われていたようですが、今回、また過長蹄の様子が見られていました。
キリンたちのいる放飼場には他園と同様に、歩くだけで蹄が削れていくように硬い火山礫(※２)が敷き詰められていますが、やはり定期的な削蹄が必要なのではないでしょうか。
蹄の変形に伴い、歩き方が不安定になり、部屋から出たがらないユーカリさんが今年(２０２２年)１月１１日にユイちゃんを出産。
出産、子育てが足の悪いユーカリさんの寿命を縮めたと言わざるを得ないのでは。
『ごめんなさい、ユーカリさん』

心配なのは、残されたまだ生後４ヶ月に満たないユイちゃんです。
キリンの授乳期間は１年ちょっと、まだまだ授乳が必要な時期です。
ユイちゃんは既に餌も食べているようですが、是非とも慎重な観察を続けて欲しいと思います。
１月３１日に長女ユリアちゃんにジョーくんが誕生、３月１２日にアリスちゃんを産んだアミさんと共にユイちゃんの面倒もみてくれたらいいですね。

【※１】過長蹄(かちょうてい)とは四肢の蹄が均一に削れず、徐々に先に伸びてしまう症状ですが、過長蹄になると正しい重心で立てなくなり、歩き方に影響を与え、関節を痛めてしまいます。
【※２】火山礫(かざんれき)とは火山の噴火により生じた火山岩の欠片のことで、直径2 ~ 64 mmの物です。
キリンは長い距離を移動するので自然と蹄は磨り減るのですが、運動量の少ない動物園などでは硬い火山礫を敷く事によって蹄を磨り減らす工夫をしています。
◆ユーカリさんには７頭の子供がいます。

ユーカリ♀(父フジタ　母ユウ)
２００６年　９月１４日多摩動物公園生まれ
２０２２年　４月２６日ミオパチー(横紋筋融解症)により死亡
父フジタ　母ユウ

❶ユリア♀
２０１１年　８月　６日多摩動物公園生まれ
❷ユララ♀
２０１３年　１月　３日多摩動物公園生まれ
２０１５年　３月１８日豊橋総合動植物公園へ移動
❸ユラノスケ♂
２０１５年　６月　６日多摩動物公園生まれ
２０１７年　５月３１日富士自然動物公園(富士サファリパーク)へ移動
❶❷❸の父
カンスケ♂(父ヨウコウ　母カナエ)
２００６年１０月２２日長野市茶臼山動物園生まれ
２００７年１０月　９日来園
２０１６年　６月　７日誤嚥による窒息にて死亡

❹ユルリ♀
２０１７年　１月３１日多摩動物公園生まれ
２０１９年　９月２６日おびひろ動物園へ移動
❺ユリカ♀
２０１８年　７月１２日多摩動物公園生まれ
２０２０年　９月１４日札幌市円山動物園へ移動
❻ジム♂
２０２０年　２月１７日多摩動物公園生まれ
❼ユイ♀
２０２２年　１月１１日多摩動物公園生まれ
❹❺❻❼の父
ジル♂(父フジマル　母ルル)
２０１３年　５月２２日埼玉県こども動物自然公園生まれ
２０１６年　６月２９日来園

『ユーカリさん、ありがとう！お疲れ様でした』
天国のカンスケくん、ユビスケくん、ノゾミさん、アオイさんに出会えたかな。

※※※
２０２０年３月７日に２７歳という高齢でノンちゃんを出産したノゾミさんは同年９月２日に循環不全で亡くなりました。
２０２１年５月２８日に２４歳の高齢でジャガくんを出産したアオイさんは同年１２月２５日に起立不能から安楽死処置がとられました。
そして、今回のユーカリさん。
高齢の個体や足が悪い個体の出産、子育てはかなりの負担になっている事が考えられます。
この辺りに配慮があれば、ノゾミさん、アオイさん、ユーカリさんたちは、もっと長生きできたとも思われます。
もうすぐ新キリン舎が完成します。
是非、ノゾミさん、アオイさん、ユーカリさんの死を無駄にすることなく、今後の飼育管理に繋げて頂ければと思います。

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