銭湯の壁 彩るロマン 銭湯絵師が製作公開

全国でも数少ない銭湯専門のペンキ絵師、中島盛夫さん（７９）が１５日、大阪市東住吉区の銭湯「みどり温泉」で、浴室の壁に富士山の絵を一気に描く制作風景を公開した。同銭湯には約５０人の常連客らがつめかけ、６０年以上のキャリアを誇る職人の巧みな筆さばきを見つめた。
　はけとローラーなどを使って赤、白、青、黄の４色のペンキを混ぜて微妙な濃淡を生み出す手法で、これまでに全国の銭湯で数多くの絵を手がけてきたという。下書きはせず、即興で描いていく。中島さんによると、銭湯絵師は弟子との２人しかいない。
　この日は午前中、女湯で幅３メートル、高さ１・５メートルのステンレス板に向かうと、中島さんが以前描いた作品の上に、満開の桜に彩られた富士山と湖の絵を手際よく仕上げた。
　午後は男湯でもう１枚に取り組み、それぞれ約２時間で完成させる速さ。中島さんは「のんびり風呂に浸かって絵を眺め、奥行きを感じて欲しい。お客さんがリラックスできる手伝いになれば」と話した。

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