初代「バーキン・バッグ」、史上最高額の860万ユーロで売却　日本人が落札

エルメスの高級バッグ「バーキン」の第1号となったかばんが10日、860万ユーロ（約14億7000万円）で落札された。これは、オークションにかけられたハンドバッグとしては過去最高額となる。
この黒革のかばんは、1985年に歌手で俳優のジェーン・バーキン氏のために製作された。バーキン氏は、エルメスの当時のアーティスティック・ディレクターだったジャン＝ルイ・デュマ氏と同じ飛行機に搭乗していた際、手荷物を落としたことをきっかけに、なぜエルメスはもっと大きなかばんを作らないのかと問いかけたという。これを受けてデュマ氏は、機内のエチケット袋に、より機能的で、それでも魅力的な新しいかばんのデザインをスケッチしたとされている。
バーキン氏のためのバッグを作った後、エルメスは「バーキン」と名付けたこのバッグを原型に、商品化していった。今でもハイ・ファッションのシンボル的な高級品と位置付けられている。
初代バーキン・バッグは10日、パリ・サザビーズで開催されたオークションで、日本人が落札した。落札額は、これまでの高額記録だった43万9000ユーロを大きく上回った。
サザビーズによると、オークションでは「ぜひとも落札したい9人の収集家」が10分間にわたり「非常に興奮する」激しい競り合いを繰り広げたという。
今回落札されたオリジナルのかばんには、前面のフラップにバーキン氏のイニシャルが刻まれているほか、取り外し不可能なショルダーストラップ、ストラップに取り付けられた爪切り、そして「国境なき医師団」や「国連児童基金（ユニセフ）」など、バーキン氏が支援していた団体のステッカーを貼っていた跡など、唯一無二の特徴がある。
2023年に76歳で亡くなったバーキン氏は、このバッグを10年間所有した後、1994年にエイズ支援団体への資金調達のために、オークションに寄付していた。
その後、このかばんはパリで高級ブティックを経営するカトリーヌ・ベニエ氏が購入し、25年間所有したのち、10日に再び売却した。
サザビーズによると、これまでのハンドバッグの最高落札額は、2021年に落札された、エルメスの「ホワイト・ヒマラヤ・ニロティカス・クロコダイル・ダイヤモンド・ルトゥルネ・ケリー28」だったという。
サザビーズのハンドバッグとファッション部門を率いるモルガーヌ・アリミ氏は、初代バーキンの落札価格は、「唯一無二の由来をその発端までたどれる特別な品、そうしたものを求めるコレクターの情熱と欲求が、伝説的なものの力によっていかに発火するか」「驚異的な形で示す」結果になったと評した。
アリミ氏はさらに、「バーキンの試作品はまさにそれだ。バーキン・バッグは、世界で最も垂涎（すいぜん）の的になっているバッグ、現代の象徴的な品で、それを私たちに与えてくれた素晴らしい物語の出発点なので」とも話した。
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